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頭のいい人

ing01a 解剖学の養老先生は個性とは体の違いとおっしゃる。
まさに目から鱗。 
若者がこれが私の個性ですと自己主張してまとう奇抜なファッション等は個性とは無縁だということらしい。

養老先生のような頭脳を持たぬ私は、ああ、本当にそれをわかるまで膨大な時とエトセトラを費やしてあっちへ行ったり、こっちへ行ったり。
転んでひっくり返って、壊れてまた起きて...
自分を含め人間を知るのには本当に時間がかかる。 
もちろん、いまでもまだまだ過程、途中の途中なのに人生の時間だけが過ぎていく。

そうした過程を経過中に時々お!と目が釘付けになるような人と出会うことがある。 

もちろんこちらが一方的にその姿を見て知っているだけではあるのだけれど...

コンテンポラリーダンサーの森山開次という人は、そういう意味においても個性的だ。

彼の個性は動きを得たときに最大限に発揮され、人々を魅了する。

踊り始めるとまるで子供のように無垢な姿から賢者のような光をかもしだす。
男、というよりもどこか思春期の壊れやすい感性を宿した青年というほうがまだぴったりくる人だ。

彼は体に正直な人だ。

体が先行していてついていっている、と本人は云う。

体を信頼していないと踊れない、とも。

彼のトークショーにて実物がじっくりと話すのを聴いた。

まったくもって今風のちょっとシャイな青年が軽~くしゃべっているような感じにもかかわらず、語られていることは人が肉体を持って生きていくコトへのホントウが沢山宿っていた。 彼は言葉無きその感覚を体感し、わかりながら、ダンスという創造の形を演じ続けているのだろう。

彼は云う...

体は感じるが、体は考える。

言葉のない世界。

...体にまかせるが必ず俯瞰している、という。

彼自身は頭が追いついていかないと言い、それが寂しいらしい。
頭悪いんですよ...と。  

本人のコメントとはまったく逆に、私にとって本当に頭のいい人というのはこういう人なのだ。
頭脳という体の一部のみに比重と価値を置かず、肉体の持つ本来のリズムを忘れていない人。 体を聴くことのできる人。 

そうして自分のリズムを知りながら受け入れ、信頼しつつ、さらにチャレンジし、自分を生き続ける人。
この青年が男になるまで、私は注目し続けたいと想うのだ。

体を忘れて頭の世界だけが先行した時には、きっと彼本来の輝きを失うに違いない。

だから、森山開次という人は、ずうっと森山開次で有り続けて欲しい、という勝手な願い。

彼は非常に忍耐強く、創作中のアレコレに関しては他者と「すりあわせを決してしない」人だという。 これはトークショーの相方となった映像作家の竹内スグル氏の言葉だ。 僕ならキレちゃうけど...ということで。
とにかく、短気になって怒ってしまってそれを誰かにぶつけて発散したり、互いに捻じ曲げてどこかで妥協しない、ということらしい(と私の解釈)。
この繊細な青年の内面を持ちながらどこにそんな強い忍耐と力が秘められているのか!と驚くばかりのわたし。

彼はTVの子供向けの体番組などにも起用されており、すでに売れっ子で注目の人となっていた人らしい。
こんな素敵な感性の持ち主に触れる事ができる今の子供たちって幸せじゃない?
実は遅れてわたしが彼の存在を知ったのが2005年の夏。
観に行く予定のミュージカルの配役を知る以前に遡る。 どこから入ったのか忘れたが、ネット上を徘徊していた時に彼のHPに辿りついたのだ。
そうして、ああ、この人を見てみたい、、、
と想ったのもつかの間、数ヶ月先に別の理由で観劇する予定の舞台に彼が出ているのを知ったのだった。  

彼の声は深く澄んで、短い出演の時間でも存在感はピカ一だった。
舞台挨拶で端に立つ彼の瞳を双眼鏡で覗き込んだ私は、自分が恥ずかしくなるくらいに心の垢をつけているのがわかってしまった。 それくらい彼の目は澄んでいた。

これから演劇の世界にもどんどん進出するかもしれない森山開次という青年。
遠くから見つめ続けていたい、と想う。

*画像は2005年12月公演の「スケリグ」より

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◆森山開次公式HP→こちらから

↓インタビュー記事と写真あり

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コメント

森山さんはダンサーでありながら、ダンスだけにとどまらない魅力がある人だなあと、ぼんやり思っていました。「身体に正直」「身体を信頼する」というのは、彼の精神を貫く背骨みたいなものでしょうか。心にとどめておきたい言葉だな…。

投稿: red and black | 2005-12-16 01:46

コメントありがとうございます>red and blackさん
トークショー、行かれていたのですよね。
「体を信頼...」の部分は雑誌に何気に書いてあって、これですでにお!てな感じで、私にとってはその感覚がとても難しいので記憶に残りました。
これからもいろいろな表情を見せていただきたい方ですね。

投稿: gh | 2005-12-16 12:46

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