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夏の終わりの花

W_hanabi02_1ここ数年来、わが家の季節のイベントと化した夏の花火鑑賞。
今年は夏の初めのお天気が不安定だったせいなのか、終盤の好天気に恵まれた花火会場は異様な人出と熱気に包まれていた。

花火なら遠くにいくらでも見えるよ、という人もいるかもしれない。
人ごみをわざわざ出かけるのもねぇ、と。

どうしても、という時にはTV中継もあるしね。
ごもっともでございます。
けれどもTVの画面で見る花火ほど虚しいものはない。
よほどのことがなければ、あの白けた間合いの解説を耳に画面を見続けることはほとんどできないだろう。
湿った夏の暑い空気と集まった人達の熱気が季節の思い出を作り出すのだから。

それよりも、やたら近くで音だけがする時のそわそわした気持ち。
もうじっとしてはいられない。 
どこかすぐ近くで上がっているはずなのにその花は見えない。
そして、やはり見に出かけたくなる。

頭上高く上がった小さい炎は目の前一杯に開く大きな光の花と化す。

W_hanabi04_2

人ごみに酔いそうになったことも忘れ、
ああ、やっぱり来て良かったと思う。
流れてくる硝煙の香りの中、
空を仰ぎ続けて光の夢とひとつになる。
幼き日に見た大きくて美しい光の饗宴の感動がいつも心に蘇るのだ。

W_hanabi03

手の届かぬ場所から見る花火には、
別の遠い思いが宿る。
どこか知らぬ場所で上がる幻の美しい花へ、
とりとめもない心の記憶が流れ出る。

W_hanaibi01

そしてフィナーレには、
訪れたばかりと思っていた「夏」という季節が、
すでに終わりに近づいていることを知ることになる。

始まったばかりと思っていたのに、もう終わってしまうのだ。

暗くなった空の下では名残を惜しむ人々がしばし涼を楽しむ。
草むらからはちろちろと、虫の声。

急に先の軽い疲れを思い出し、えいこらしょ、と重くなった腰を上げて帰路に着く。
来年もまたここで花火を見ることができますように。 

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