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2005-11-07

CD「CATS」劇団四季オリジナル・キャスト版

catsjackt

劇団四季ミュージカル 「CATS」オリジナル・キャスト
劇団四季
ポニーキャニオン

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2005年の2月、11月とキャッツの再演に出かけた。
日本での上演6000回を越すヒットミュージカル作品。

初演は新宿西口副都心の移転予定の空き地に大きなテント風の仮設劇場を設置。
四季の新しい上演スタイルのはしりでもあった作品だ。
「ぴあ」というチケット販売システムを初めてこの世界に導入してチケットを大規模に売り出したのである。 
バブル突入の景気のよい時代で外国のプロダクションのミュ-ジカルが大量に輸入され始めた頃でもある。

初演を2回ほど観る機会に恵まれたのだが、20年以上前の私にクリアな記憶というのはほとんどないに等しい。 当時一緒に観に行った相手の方が舞台にあまり興味がなくても覚えているといった具合なのだ。 
初演から時間も経って、演出も変わっているし、比較はできない。 
舞台は生ものである。
ではそれを踏まえても何故にこの項を書く気になったのか、というとたったひとつだけこの舞台ではずせないものが私の心の記憶に残っていたからだ。

そう...たったひとつだけ、

私も当時の連れも納得しない部分がひとつあったのだ。
その記憶を辿るためにオリジナル版のCDを購入してみることになった。
連れ曰く、あの曲はあんなにがさつな感じで歌われる曲ではない、というひとことに私もうなずくしかない。

それはグリザベラの歌う「メモリー」♪
どんな物語なのかというのはすっとぱしても、当時の私はこの「メモリー」を舞台で聴きたいが為に足を運んだのである。 

2004年スタートの再演で2人のグリザベラに出合ったが、どちらの「メモリー」はMyメモリーの「メモリー」ではなかった。 そうして声という視覚では記憶されていない記憶で伝えてきたグリザベラという猫の姿は今のプロダクションにはもうなかった。

グリザベラという老いてゴミのようにボロボロの雌猫はかつては羨望を集めるほど美しい猫でしかも娼婦だったのだ。 この猫は「CATS」というミュージカルの為に作られた唯一のキャラクターだそうだが、この猫がいなくてはこの作品は成り立たない。
ボロボロになっても心にまだ生きる気高さを残すグリザベラがジェリクル・キャッツに選ばれることがひとつのキーになっているのだ。 
視覚的にも非常に地味な登場。 
どの猫にもそっぽをむかれ威嚇される彼女が「メモリー」の旋律に乗せて歌いだすと空気が変わっていくのだ。

夜の空気が一転して澄み渡り、グリザベラの声は青い月明かりに吸い込まれていく。

心に鳥肌がたつようなそんな澄んだ声で歌うのだ。

その切ない(しかし力強い)歌声からグリザベラという猫の生き方が瞬時に浮かび上がってくる。
語りや仕草で伝えられるどんな説明よりもこの猫がどんな猫なのかというのがわかる曲なのだ。
これは同じ製作者の別の作品(ジーザス・クライスト・スーパースター)のマグダラのマリアと役としてはある種共通性があるかもしれない(歌声ではなくあくまでも役柄)。

残念ながら20年ぶりに再会した今のプロダクションではまだそういうグリザベラに出会っていない。

今改めて初演のCDを聴いて思う事は、当時の四季の力の賭け具合というのがよくわかるということだ。 いい意味での個性が声まで光る粒揃いなのである。 
現在の「CATS」は時の流れと共により進化していて、ある一定の水準を満たして上手なのだが(それもとても大切な要素と思う)、別の キラメキも少ない。 沢山の星が夜空にはあるが、天の川は見れるけれどベガやアルタイルは見えないという感じと似ている。 
贅沢な期待だとはわかっているが、できれば舞台でも"あの"グリザベラに再会したい、と止まない期待を持ち続けるわたしなのだ。

なお初演のグリザベラ役は久野綾希子。彼女は四季を退団した後もオーディション形式で作られている現在の四季の舞台「マンマ・ミーヤ!」大阪公演で再度四季の舞台に立ち、主演している。(2005年11月7日現在のキャスティング) (*敬称略)

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「CATS」の元になったT.S.エリオットの詩集。
舞台の猫の台詞はこの詩が元になっています。

キャッツ―ポッサムおじさんの猫とつき合う法
筑摩書房

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【劇団四季CATSオリジナル版CD】

【演出】浅利慶太【演出補・美術、技術担当】沢田祐二【演出補・進行担当】梶賀千鶴子【演出補・技術、運行担当】杉田静生【振付】山田卓【照明デザイン】沢田祐二【音楽監督】渋谷森久【音楽副監督】青山明【美術デザイン】金森馨記念デザイン工房【音楽監督助手】鎮守めぐみ、清水恵介【舞台監督】平瀬慶次【音響技術】実吉英一、金森正和、小幡亨、三浦桃枝

【出演】グリザベラ:久野綾希子/ジェリーローラウム=リドルボーン:保坂知寿/ジェニエニドッツ:服部良子/ランベルティーザー:浅見陽子/ティミータ:鎌田真由美/ボンバルリーナ:羽永共子/シラバブ:野村玲子/タントミール:福井園子/ジェミマ:黒田ひとみ/ヴィクトリア:八重沢真美/カッサンドラ:望月めぐみ/オールドデュトノミー:山本隆則/アスパラガス=グロールタイガー:光枝明彦/マンカスとラップ:園岡新太郎/ラム・タム・タガー:山口祐一郎/ミストフェリーズ:飯野おさみ/マンゴジェリー:山口正義/スキンブルシャンクス:青山明/コリコパット:深見正博/ランパスキャット:高桑満/カーパケッティ:吉沢勇/ギルバード:岸川洋一/マキャビィティ:杉谷嘉昭/タンブルブルータス:桝川謙治/

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コメント

私が持っているCD(正確にはi podに落としているCD)は「ロングランキャスト」の方なので、
こちらもとても気になっています!
ロングランの方は芥川さん(鈴木綜馬さん)が
スキンブル役で登場するので、それはそれで嬉しいのですが^^;

投稿: チロル | 2005-11-11 20:08

ロングラン、聴きたいです!
聞き比べてみようと近所のT●T●YAにでかけましたが貸し出し中か棚に空欄が...再度狙ってみたいと思います。
スキンブルな綜馬さんも是非聴いてみたいです♪(なんだか声は似合いそう...^^;) あの猫タイツ姿は想像つかないんですけどね。
シラバブとグリザベラのシーンも澄んだ感じがすごくいいですよ☆

投稿: gh | 2005-11-11 21:48

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