ベガーズ・オペラ (2)
続きです...
待ちに待ったといういうか、その間チケットを増やしてしまった「ベガーズ...」。
目の前にマクヒースがあと数センチ先という良席にも座ったが、このSS席はやはり位置が特別。
超ま近かで見た舞台美術は絵のように美しく、一瞬だけれども18世紀の本の中に飛び込んだような気持ちになってしまった。
このSS席(*サイドシート)なんたって観客の熱を真横から被る位置。
しかも周囲にリピーターが多いことに気づく。
ありがたいことに私のSSは上段(舞台と同じフロア)ではなかったので、ミーハーチックにきょろきょろと舞台脇の役者さんたちを振り返ってみたり、と挙動不審の観客のひとりに(動向が同じ人は他にもいたようなので...ほっ) 。
目の前の舞台では主演の役者さんたちが佳境に入っているのにもかかわらず、真後ろを覗いて(セットの)ボックス席に居る役者さんと思わず目があってしまったおこちゃまな私。 すごくきれいな微笑みをいただいてしまった。
開演最初の週に比べて1階の観客席を動き回る役者さんたちの動線が先週よりもさらに短くなっていた代わりに、2階席に乱入したベガーズと観客の盛り上がりは1階以上のものがあった。
1階まで響いてくるお約束のベガーの台詞、
「お客さん、これでマクヒースばかり見てちゃいけませんよ!」
の声にわぁ~♪と湧きあがる観客の大歓声。
(最初の週はどちらの声も聴こえなかったよ)
オープンの週にあちらこちらで目にした2階席は取り残されたような感じ、という感想のような雰囲気などまったく感じられないくらいの熱。
本当に演じる側がびっくりするくらいの観客の異様な盛り上がりである。
私もびっくりしましたワ(汗)。
さすがに役者さんの中にも疲れが見られて、ピーチャム夫人は上手に隠していたけれどちょっと力がなかったし、前の週はすごい笑い声で場内響き渡り走り回っていたベガーもかなり控えめに。 最初の週は観客の反応や体力の加減を見ながら目一杯動いていたのが、だんだんと要領を得てきたようです。
そうした疲労感とは逆にトムとマクヒースは舞台上では全開!という感じ。
特に始まったばかりの時はたぶん体調不良だったのではないかと思われるマクヒースが、どんどん回転がよくなっていて、この日のマチネは最高の声。
もうびっくり。 立ち振る舞いのキレもすごくよかった。
疲労が重なっているのがカーテンコールではちょっと見えたけれど、本編でそれをまったく感じさせない姿を見せていたのが舞台人として当たり前とはいえ、やっぱりすごい。 こういう能力のある人を目の当たりにする機会があることがすごく嬉しい。 わざわざ大枚はたいて足を運んだ甲斐があるというものです。(体がドンくさい私はこういう人を見ると常に感激してしまうのだ。)
録画のカメラが入った日の調子はどの程度だったのだろう。
願わくばこの日のような歌声が入っていることを祈る。
この作品、芝居は計算しつくされている劇中劇なので内容はいつ見てもある程度安定している。 (2回目以降はちゃんと曲もリフレインの部分も自然に耳に残ってくれたし)
本当は最後の最後まで18世紀の英国のベガーで通して欲しかったけれど、どうやら公演も半ば過ぎてカーテンコールではだいぶ素の部分が出てきている。
2週目で片言の日本語で挨拶をし始めたマッコリくんが突然素で「どうです?このお芝居全然古くないでしょう?」としゃべりはじめ、今回3週目では「お客様からの熱とこの汗にまみれた汚い芝居を見てくださって...ジョンもきっと喜んでいると思います...」てまったくの素になってました。
その後他の方の観劇ブログを見たところ他の回では何やら別の演目の歌も飛び出したとか。
どうつじつま合わせてもいいから終始完全にベガーで終わらせて欲しかった。
そのあたりはちょっと残念かな。
【どうでもいいオマケな覚書】
マッコリくんは猫背男です。
ポーリーにやたらしつこく絡んでいるシーンではマクヒースではなく素のベガー・マッコリが入っている模様。
ルーシーはベガーとして入場してくる時にすごい下町のおばちゃん風の会話をしながら入ってきます。
最後に芝居のエンディングに憤慨して舞台を降りてひねくれるトムのすね方はまるでお子ちゃまモードです。
舞台が始まるときの緊張時や休憩時にベガー達はよく「おしっこいきたい...」とつぶやいています。
一緒に観劇した連れからの質問(カーテンコールでセットの2階にいるマッコリを見て...)
なんでアノ人はいつも寝そべっているの?
むぅ~~~~。 なんででしょ?(笑)。
(前回観た時は楽しそうに3人で足上げて踊ってましたがね。)
どなたかユニークな回答をお待ちしております。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
この作品を知らない方への予備知識:
*サイドシート=この舞台は変形で普通の舞台よりも客席中央に張り出しています。
その両脇と舞台上の両脇にベンチシートが設置してあるのが特長。
SS席は舞台の一部に設定されており、観客はもともとが生きてるセットでもある。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
| 固定リンク
「舞台」カテゴリの記事
- 『エリザベート』城田版2010(2010.10.13)
- 『エリザベート』山口版2010(2010.10.13)
- 『イリアス』(2010.09.22)
- 『エリザベート』2010(石丸版)(2010.09.15)
- 『冬のライオン』(2010.01.27)
「「ベガーズ・オペラ」」カテゴリの記事
- 『ベガーズ・オペラ』 再演2008(2回目)(2008.03.28)
- 『ベガーズ・オペラ』 再演2008(2008.03.15)
- 届きました♪(2006.06.23)
- 6月24日発売:『ベガーズ・オペラ』DVD(2006.06.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
書いている途中だったのにコメントありがとうございますm(_ _)m
書き上げて修正アップしたのでTBさせていただきました。
役者さんたちが楽しそうに演じていたのでこちらも観ていて嬉しかったです。まさに「お祭り」的な作品だったなと思います。
投稿: ぴかちゅう | 2006-02-12 02:38
下段でもかなりなインパクトがありましたよね>SS席
すごい熱気が客席から襲ってきてました。
踊る為に通っている方もいたようですね。
男性の多くは凍り付いて帰り支度をしているのとは対照的でした。
物語自体は古典的な作品なので1度観ればまぁいいや、という方も多いと思うのですが、役者さん達の自然に見えて実は練りこんだ汚れっぷりが半端じゃなかったところに魅かれました。
金田さんの存在感も抜群でしたね。
投稿: ♪~ | 2006-02-12 18:14