ベガーズ・オペラ(3)
”ぬふっ!ぬふっふっ○×#∮...猫いらず!!!”
ルーシーのシーンがツボのこの頃です。
上手かったですよねぇ。
(島田歌穂:2006年「月刊ミュージカル2月号」2005年ミュージカル・ベストテン 女優部門第1位)
千秋楽の「ベガーズ・オペラ」。
観客の舞台に集中するその雰囲気といったら、ものすごかったです。 昨年の「エリザベート」の楽の比ではないような...
その観客の雰囲気とは逆に出演者の皆様、本当に体力、気力を絞りきっての36公演目という感じ。
もうピークを越している疲労、というのも感じられました。
(英国では客席400という小さい空間での公演だったということなので、この日生劇場の広さといったらネ!)
もっともそれで演技が影響されることもなく、最後まで最高のものを見せる出演者の気迫。 そして最後は無事千秋楽が済んだという安堵感も。
カテコはいいから早く解放してあげたい気分になりました。
(出来はコンディションも含め前回感想をUPした時の方がダントツだったように思います。)
観客は本当に皆名残惜しそう。 やはり見ている方の熱気がすごい作品でした。
再演を是非にという希望的コメントは出演者からもありましたが、千秋楽の時点ではまだ決定ではないようでした。 (公式HPに出演者の楽日コメントあり・HP公開期限2月末まで)
千秋楽だからといってすごく特別なこともなく進んだ舞台ですが、この日ついに森ピーチャム夫人が1幕目で気を失い気付のお酒で起き上がるシーンの2回目で腹筋がきかず、起き上がれなかった模様。 ポーリーが一人舞台で喝采を浴びるシーンがいつもより長かったのは楽へのご愛嬌♪
休憩時間には皆それぞれに貰い物の袋を持っているような状態。
ピーチャム夫人宛ての差し入れのビニール袋からはなんと特大のソースの瓶が。
見せて笑いを取ってました。
そしてこれまた手に抱えきれぬ袋を持って2幕目に入るトム。
と、ボトッ!とひとつ袋が舞台上に滑り落ち。 マットが(確かマット)台詞を言っている間預かっていよう、という配慮を示したところ、「いい!取られそうだから!」と厳しい顔で袋を抱きかかえるトム。 観客爆笑。
どこまでもベガーのトムなのでした♪
カーテンコールでは「もう一度踊りませんか?」の舞台上からの声に再度踊りが。
多くのベガー達が1階客席に下りて通路でダンスの輪を広げていました。
そういえば、今回は楽ということもあってカテコでの挨拶時にはすでにマッコリの背筋はきりりと伸びて内野聖陽に戻っていたようです(別人だった・驚)。
ルーシー(島田歌穂)がカテコ挨拶の時は「エリザベスの...」と自己紹介を始めたら、ピーチャム夫人が「え?あんたエリザベスっていうの?」というリアクションをしてました。 (ん??? 謎。)
ちなみにこの日は下手バルコニー上段に振付家のうらんさんが居て、全部をしっかり見届けながら観客のひとりとしての演技にも貢献してました。
(久々に1幕目でバルコニーに上がるマッコリの姿も目撃。)
休憩時間中にお手洗いの列に「まぁ、長い列ですね。 お手洗いですか。 ホッホホ。 大変ですね。 もうすぐ始まりますよ...etc」と妙なトーンの日本語で話しかけながらスノッブな雰囲気で2階に上がっていくジェーミィ・トゥイッチャーにも遭遇 (初代ムーミンに出ていたスノーク(声:広川太一郎)風の鼻にかかったしゃべりを思い出した <たとえ古っ (-_-;))。
そしてロビーを黒の帽子に黒の上下のいでたちで、芸能人オーラを放ちまくりの某アンジョ・きっしーが歩いていました。
この作品の公演期間中、中盤から私の注目度が上がったのは「造幣局のマット」。
前半で最初の休憩後のお約束の演技が動線なども踏まえ若干パワーを失ったのに反比例して、3幕目の始まりでは別のお約束で観客を笑わせ、そしてなごませてくれました。
千秋楽の時には2階でマットの「お~い、ここの階段動いてるぞぉ~!びっくりしたぁ。」という声も。
もうひとつは森公美さんのベガーでの演技(休憩時間ではなく)。
舞台が始まり老俳優が「作者は~ぁ...」と紹介をしている時に、はい!ここに居ます、という風に息子のトムを前に押し出す姿はお母さんそのものでした。
千秋楽からすでに2週間が過ぎて、ここを書いてます。
この作品がこれほどまでに観客を虜にした魅力はなんなのだろうと、考えてます。
そのひとつはやはり現代人が忘れかけている体から湧き出る人生への生きる熱ではないのかと。
体を目一杯使って劇場を駆け巡りながら芝居をするベガー達の姿がそれを思い起こさせてくれるのかもしれません。
演じているのが18世紀のベガー達なのですごく素朴でベガーとしての役の演技もなんだかこのせちがない東京の街ではすごく可愛らしい感じがしました。
同じメンバーでぜひ再演...待ってます。 bye-bye, Beggars.
(その前にWOWOWでの放送とDVD発売もあるのがすでに待ち遠しい♪)
【どうでもいいオマケな覚書2】
1幕スタートすぐに2階脇に居るマッコリは、3階の柵にもたれかかっているポーリーのスカートをピラピラめくってちょっかいだしてました。 ((◎-◎;)ドキッ!! な、なにスカート覗いて遊んでいるのさ、マッコリ。 俗に言うスカートめくり♪)
最後に笛を吹く真似をしながら舞台をリードして踊るトムの姿は「ハメルーンの笛吹き」そのもの。 (観客全員この街から連れていかれそう...)
トムが芝居の解説中、”*レチタティーボ(叙唱)”の言葉に「それって何?」のリアクションのベガー達のつぶやき。 (ここは私もほぼ同類 ^^;)
”ミューズ” の言葉にも同様のベガー達。
”いつでも教会で夕食にありつける詩人は珍しい”との台詞に「(それって)結構すごいんだよ。」とトムのことを教えてくれるベガーも。
*オペラなどで話すように歌う部分。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
【備考】
下記の翻訳者、海保眞夫のあとがきによると...
この作品は「喜劇」と「パロディ」
音楽劇的には「バラード・オペラ」の元祖
「三文オペラ」と「乞食オペラ」は性質的に異質のもの
などなど
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
乞食オペラ 法政大学出版局 このアイテムの詳細を見る |
ロビーでも販売されていた原作。
公演期間後半、新装版が出て装丁が変わっていました。
こちらは新装版。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
これより先に他のブログに書いたザックリの感想はこちら:
「風の記憶:世界で一番古いミュージカルを見た」 は「心と体」のジャンルにて。
| 固定リンク
「舞台」カテゴリの記事
- 『エリザベート』城田版2010(2010.10.13)
- 『エリザベート』山口版2010(2010.10.13)
- 『イリアス』(2010.09.22)
- 『エリザベート』2010(石丸版)(2010.09.15)
- 『冬のライオン』(2010.01.27)
「「ベガーズ・オペラ」」カテゴリの記事
- 『ベガーズ・オペラ』 再演2008(2回目)(2008.03.28)
- 『ベガーズ・オペラ』 再演2008(2008.03.15)
- 届きました♪(2006.06.23)
- 6月24日発売:『ベガーズ・オペラ』DVD(2006.06.10)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
♪さんこんにちは~おいかけてきました!
ココログさんで舞台関係のお話なんですね
ベガーの記事楽しく読ませていただきました。
客席まで巻き込むのは・・・想像だけでも、なんかワクワクします。斬新ですね
投稿: らぶりー | 2006-02-12 15:00
コメントありがとうございます>らぶりーさん
話題が広がりすぎて収集がつかなくなったのでそれぞれにブログやHPに再度分けてのスタートです。 よろしくお願いしますm(_ _)m
このお芝居、リピーターの方は踊ったり一緒に歌ったりと参加するのがまず楽しい、という感じに見えましたが、実は私は作品見るだけで(劇場に居るだけで)十分面白かったのですよぉ。
やはり出演者の演技の平均点が高いということと、演出側の意図などが上手に調和されていたのではと思うのですが独特の空間でした。あとは原作の力でしょうか。
機会があったらいつか見てね~♪
投稿: ♪~ | 2006-02-12 18:05
こんばんは~♪
もう千秋楽から2週間ですね。
もっと観たかったなぁ。
今度やる時はも少し狭いハコでお願いしたいですね。
狭い分2~3ヶ月公演で。(だって、狭いとチケット取りも壮絶ですものね)
昨日、世田谷パブリックシアターに行きましたが、あそこなんかだとちょうどいい具合かな?
あとアートスフィアとか。
投稿: くまのすけ | 2006-02-13 22:50
くまのすけさん>
実は私もパブリックシアターで同じことを思いました。
あそこ階段が急で3階まで”動く階段”がないのだけが難かも。マットが痩せそう~(笑)
アートスフィアは未踏の地なのでわかんないけど、ほんと、狭いハコだと毎日通う人が続出するような予感。
もし同じキャストを3ヶ月も拘束できたら...わ~♪贅沢♪
人を酔わせる何かがある作品でしたね。
投稿: ♪~ | 2006-02-14 14:14
初めまして!
ぴかちゅうさん宅より参りました♪
大盛り上がりの楽の様子を、楽しく拝見しました!
感想をアップしたので、トラバさせていただきました。
先ずは“3”に飛んでしまったので、遡って色々と読ませていただきます!
これからも、よろしくお願いします!!
投稿: midori | 2006-02-15 10:39
midoriさん>
おいでませ♪
TBとコメントありがとうございます。
ベガーズの18世紀英国空間が霧のように消え去って、なんともいえぬ気分です。
あれは夢かうつつか、幻か...
(3)はあまり内容に気合入ってませんが、ちょっとでも楽しんでいただけたらないよりです。
投稿: ♪~ | 2006-02-16 03:51
ベガーズオペラ、楽しかったですね♪不思議と惹き付けられた作品でした。
ベガーズ達がもういないなんて、ホント、あれは夢かうつつか、幻か…という気分です。
DVDやテレビ放映が待ち遠しいですが、何よりまた、同じメンバーで現代日本に戻って来て欲しいです!
TBさせていただきましたm(_ _)m
投稿: あきこ | 2006-02-21 23:26
あきこさん>
何かタイムマシーンに乗ったようなひとときでした。 SS席で舞台の一部に取り込まれると、これまた強烈な体験でしたね♪
もしかしたら18世紀に書かれた原作が再度現代に蘇る為に観客のパワーを吸収したのかもしれない、と思えるほどです。
いつも丁寧なご紹介ありがとうございますm(_ _)m
投稿: ♪~ | 2006-02-22 11:14