かんじん... 『勧進帳』
席は完売。
いつもはあまり見かけない若い客層もあったり、なかなか普段は歌舞伎座までは...という雰囲気のお客様あり、と都心にあっても巡業の雰囲気が大きいのが伝わってくる。
「まさか生で幸四郎の勧進帳が見れるとは思わなかった。ありがとう。」とどなたかに誘われて来たらしいおばあちゃんの感激と期待に満ちた声が耳に入る。
こういう雰囲気に出会うと、
歌舞伎はやはり歌舞伎座でなくては、とか、
花道がなくては、とか、
または観劇は良席でなくては、とか、
伝統芸能は国立なんとかでなくてはやはりダメだ、とか、
人々が後日作り上げた、訳のわからない単なる嗜好の曇りが心の中で晴れていく気がする。
舞台は2部構成。
1部はスーツ姿の幸四郎の挨拶と歌舞伎の成り立ちの簡単な説明。
ちょっとした歌舞伎教室。
客席から参加者を募り、舞台で歌舞伎を体験するコーナーも。
若い女性と小学生の女の子が手を上げて参加。
立ち回りとお姫様の風情を再現。
2部はお待ちかね『勧進帳』だ。
汗だくの幸四郎弁慶と無言の演技で舞台に控える時間の長い冨樫役の染五郎。
普段からスマートで涼しげな雰囲気のある幸四郎は、汗だくで豪快さを持つ弁慶を熱演。 後半の浜辺の宴会場面では、弁慶の無垢な荒々しさが微笑ましく、観客の笑いを誘う。
そして、意外や今回印象に残ったのが染五郎。
今回で3回目という親子共演の『勧進帳』での冨樫。
義経一行であることを知りつつも、彼らを逃してやる関所の役人の長役である。
今まで見た染五郎とはまったく異なり、落ち着いた存在感がひかる。
彼が冨樫としてまとっている、どこか少し憂鬱な憂いを含んだ雰囲気がいい。
良いお役をもらったよねぇ、と思う。
なんでも一期一会。
これで9月の歌舞伎座が楽しみになった。
『勧進帳』は全国津々浦々へ巡業します。
これからアナタの住む町へも訪れることでしょう。
こんなトラックが走っていたら注目してください。
↓
◆大道具さんのブログ:「大道具さーん ちょっとー!」 より巡業トラック。
2006/7/2 @ 日本青年館にて昼の部
リンク記事: 秀山祭九月大歌舞伎 ‐ZAKZAK 2006/06/29
”初代中村吉右衛門(享年68)の生誕120年を記念した「秀山(しゅうざん)祭九月大歌舞伎」の制作発表が28日、東京・中央区のホテルで行われた。
東京の歌舞伎座で9月2日から26日まで。
発表会見には、初代の孫で養子の二代目中村吉右衛門(62)のほか、兄の歌舞伎俳優、松本幸四郎(63)、市川染五郎(33)が顔をそろえ、吉右衛門は「私にとっては父とか祖父とかを通り抜けた名優」としみじみ=写真。幸四郎が、弟について「歌舞伎に対する気持ちが同じなのでやりがいがある」と述べると、吉右衛門は「お互い息を合わせて立派なお祭りにしたい」と力を込めていた。”
【 歌舞伎十八番『勧進帳』 】
(社)全国公立文化施設協会主催 中央コース (平成18年7月)
【配役】武蔵坊弁慶:幸四郎/源義経:市川高麗蔵/亀井六郎:坂東亀三郎/片岡八郎:坂東亀寿/駿河次郎:澤村宗之助/常陸坊海尊:松本錦吾/富樫左衛門:市川染五郎
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