『12人の怒れる男たち』
演出家、蜷川幸雄の力量をようやく見た気がする。
原作の力もあってか、変な甘さが抜けた緊張感がここちよい。
アンコールで呼び出された彼は相変わらずエネルギッシュで、実年齢を忘れさせる。
この作品を今上演するという選択がすごい。
日本が未だにどれほど世界から遅れをとっている国なのか、それをありありと思い知らされた。
別に陪審員制度導入とかそういうことではなくてね。
多民族構成の陪審員を見た目同じような日本人が演じ分けるという至難の業もあったが、うまくこなされていたようだ。
陪審員三号(西岡徳馬)の激情おやじぶりはまるであて書きのようにも見える好演。
どの役も主役と同じ重さをもった絡み合いの深い心理劇。
まるで生きることへ対峙する精神的深さの必要性をも暗示しているようだ。
怒りの影にあるもの...
この作品を観た他の観客の目にはどう映ったであろうか。
ヘンリー・フォンダ主演の映画版をまだ見ていない。
ぜひ近いうちに鑑賞してみたい。
2009/12/6 Bunkamura シアターコクーンにて。
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余談:
このころのアメリカって、たとえば『ウエストサイド物語』。
そしてストライプのワイシャツが印象的な陪審員12号の職業は、『奥さまは魔女』のダーリンと同じだったりする。
そんな風な時代背景。
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